印象派の先駆け!?イギリスの大画家ターナーの魅力に迫る!

西洋絵画の魅力にどっぷりハマり、見たい絵画リストまで作成してしまった、かおりです。

突然ですが、みさなんは、イギリス出身の画家
「ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(J.M.W. Turner)」をご存知ですか?

現在の20ポンド紙幣に絵画と肖像が使われている人物であり、イギリスの国民的画家。

18世紀〜19世紀にかけてに活躍し、のちに登場するモネなど印象派の画家たちに大きな影響を与えた存在とも言われています。

印象派ってフランスの画家のことでしょ?そう思った方、そのとおり!なのですが、モネたちはターナーの絵を研究していたそうなのです!

今回はイギリス国民に愛されるターナーがいかにすごい画家なのか、そして数ある作品の中でも必見の作品を5点ご紹介していきます!

目次

輝かしい生立ち

ターナーは1775年、ロンドンの床屋の息子として生まれました。子どもの頃から非常に絵が上手く、父親のお店に作品を飾って客に見せていたんだとか。中には買ってくれる人もいてそれでお小遣い稼ぎをしていたなんて話もあるそう。

その才能はすぐに評価され、14歳でロイヤル・アカデミーの展覧会に入選し、26歳でロイヤル・アカデミーの会員に選出。
その後は貴族や富裕層のパトロンにも恵まれ、大成功を収めていきます。生前から評価が高く、地位を確立していた画家なのです。

左が初期の作品/右が後期の作品

また、生涯にわたって作風が変化しているのが特徴で、ロマン主義の画家でありながら、印象主義の先駆けともいえる存在。

・ロイヤルアカデミーとは?
ロイヤル・アカデミー(Royal Academy of Arts)は、イギリス最高峰の芸術機関。18世紀に設立され、現在でも英国美術界の中心的存在です。ここに入選・会員になるということは、当時の芸術家にとって最高の名誉でした。

・ロマン主義とは?
18〜19世紀に広がった芸術運動で、理性よりも感情・自然・崇高さを重視する考え方。荒れ狂う自然、ドラマチックな光景、人間の内面などを強く表現するのが特徴で、ターナーの劇的な風景画にも色濃く表れています。

・印象主義とは?
19世紀後半にフランスで生まれた美術運動で、「見た瞬間の光や空気の印象」を重視します。輪郭をはっきり描かず、光のゆらぎや色彩の変化を表現するスタイル。ターナーの晩年の作品は、この印象主義に極めて近い表現をすでに実現していました。

ターナーのここがすごい!

小さい頃から絵がうまくて、画家として成功した人は多くいるかと思いますが、ターナーのすごいところは、さまざまな面で先駆者であるということ。

ここではその例を2つご紹介します!

「今」の出来事を描いた

ターナー以前、多くの画家たちが描いていたのは
神話、聖書、歴史上の英雄など「過去の物語」や「理想化されたもの」などでした。
そんな中、彼は「今起きている出来事」を積極的に描いたのです。

代表例が「戦艦テメレール号」。
テメレール号は、1805年のトラファルガー海戦で活躍した戦艦。それが老朽化により解体されることになり、ドックまで蒸気船に運ばれる姿が描かれています。

Joseph Mallord William Turner The Fighting Temeraire 1839 Oil on canvas, 90.7 x 121.6 cm Turner Bequest, 1856 NG524 https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG524

帆船(テレメール号)の時代が終わり蒸気船へのと世代交代する様を月と日の入りで表現されています。

この絵は£20紙幣にも採用されいて、イギリスを代表する絵画といえます。

他にも難破事故や蒸気機関車などターナーが生きた時代を象徴する事柄を題材にしていました。

19世紀以降、今の出来こ度を描くことは当たり前になっていきますが、この時代としては宗教画や神話を題材にした絵画が少ないのに大成した珍しい画家といえます。

空気感を描いた

ターナーの初期作品は、非常に写実的で緻密な風景画が中心でした。しかし次第に作風は変化し、実態を詳細に描くというよりも、光の加減、空気の湿り気、スピード感といった印象を描くようになっていきます。

Joseph Mallord William Turner Rain, Steam, and Speed – The Great Western Railway 1844 Oil on canvas, 91 x 121.8 cm Turner Bequest, 1856 NG538 https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG538

その例が
「雨、蒸気、速度 ― グレート・ウェスタン鉄道」。
蒸気機関車が橋を走り抜ける場面ですが、列車の輪郭はぼやけ、雨と霧に包まれた空間全体がうねるように描かれています。

しっとりとした空気の中をすごいスピードで走る機関車を間近でみたかのような気持ちになれる作品。

また「緋色の夕日」も印象主義的な作品の一つ。


こちら、モネの「印象日の出」にとても似ていると思いませんか?

モネ「印象日の出」

それもそのはず、モネが、普仏戦争の徴兵を避けるためロンドンに滞在した際に、ターナーの作品を熱心に研究していたと言われているんです。
その影響が作品をからもみて取れます。

ターナーがいなければ、のちにフランスで印象派と呼ばれる画家たちの作品は生まれなかったかもと考えると、いかに影響力のある人物だったかがうかがえます。

ロンドンでターナーの名作を巡ろう

ターナーは世に出ている作品数が多く、特にイギリスでは本当に多くの美術館でターナーの絵画を鑑賞することができます。
例を挙げるとキリがないのですが、そんな中でも有名な作品をご紹介します。(すでに登場している作品も再掲しています)

1.戦艦テメレール号(ナショナルギャラリー)

Joseph Mallord William Turner The Fighting Temeraire 1839 Oil on canvas, 90.7 x 121.6 cm Turner Bequest, 1856 NG524 https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG524

夕焼けに染まる空と、静かに曳航される老戦艦。イギリス人の心に深く刻まれている一枚です。

2.雨、蒸気、速度 ― グレート・ウェスタン鉄道(ナショナルギャラリー)

Joseph Mallord William Turner Rain, Steam, and Speed – The Great Western Railway 1844 Oil on canvas, 91 x 121.8 cm Turner Bequest, 1856 NG538 https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/NG538

蒸気機関車を細密に描くというよりもその場の空気感、当時世界で一番早い乗り物であったことのスピード感が表現されている作品。

3.緋色の夕陽(テートブリテン)

モネの「印象日の出」はこの絵から着想を得ているのではと思う作品。
赤く染まるそらとうっすら見える街の影がなんだかもの寂しさを醸し出しています。

4.ノーラム城、日の出(テートブリテン)

霧に包まれた城と朝の光。ターナーがこだわっていたとされる「光の表現」の魅力が凝縮された一枚です。

5.海の漁師たち(テートブリテン)

油絵で初めてロイヤルアカデミーに入賞した作品。光と水の表現がとにかく美しく、思わず見入ってしまう作品。

ターナー&コンスタブルの特別展が開催中!

テートブリテンでは、ターナーとコンスタブルの特別展が開催中!

コンスタブルはターナーと同時代に活躍した画家で、主に神話、聖書のエピソード、歴史上の大事件や偉人などをテーマとした「歴史画」で高い評価を得ていた人物。イギリスを代表する2人の画家の絵画が一度に楽しめる贅沢な機会です。

人気の展示なので、気になる方は早めの予約がおすすめです!

【特別展】Turner & Constable Rivals & Originals
期間:2026年4月12日まで 
※チケットの事前予約が必要です(https://shop.tate.org.uk/ticket/date?cgid=367752
開催場所: