最近、西洋美術にハマり、有名絵画をこの目でたくさん見ておきたい!と意気込んでいるかおりです。
世界でも指折りの美術館が集まっているロンドン。当然ながら、その分有名絵画も集まっていて、西洋絵画好きにはたまらない場所なんです。
ナショナル・ギャラリーをはじめ、テート・モダン、テートブリテン、コートルートギャラリーなど、有名どころを挙げればきりがありません。


そんな中、観光ガイドブックでは詳しく紹介されない、“隠れ家美術館”があるのをご存じでしょうか?
それが「The Wallace Collection(ウォレス・コレクション)」。
著名な画家の作品が多く展示されているだけでなく、館内カフェもとっても素敵でアフタヌーンティーまで楽しめてしまう最高の場所。
今回は、そんなウォレス・コレクションの魅力をご紹介。
- 定番な美術館以外のところにも行ってみたい!
- 人混みを避けて美術館鑑賞したい!
- 素敵なカフェでアフタヌーンティーを楽しみたい!
という方にぴったりなので、是非参考にしてみてください!
The Wallace collectionとは
有名百貨店Selfridges裏手の閑静な住宅街にあり、ロンドナーに愛されるウォレス・コレクション。
なんと入場は無料!(とはいっても、寄付金を払うのがベター。)まずは、どんな美術館なのかご紹介します。
貴族の邸宅が美術館に
ロンドンの中心地でありながら、閑静な住宅街に佇むこの建物は、美術館というよりもホテルや豪邸のような雰囲気。

それもそのはず、ここはハートフォード侯爵家のかつての邸宅。
パリに住んでいた第四代侯爵は美術品のコレクターで、多くの品々を所有していたんだとか。
そのコレクションを受け継いだのが息子のリチャード・ウォレス卿で、彼とその夫人が亡くなった後、膨大なコレクションを国に寄贈したのがこの美術館の始まりです。
そのため、美術館でありながら、なんだか貴族のお家に招いてもらったかのような気分を味わえます。
イギリスなのに!?フランスのロココ美術の宝庫
ウォレス・コレクションの特徴は、なんといっても18世紀フランス美術の充実ぶり。
18世紀フランスいえば、華やかなロココ美術が栄えた時代。

それを象徴するように、展示室に入ると、金色の額縁や煌びやかな装飾が並び、とにかくゴージャス!まるで宮殿の一室のよう。

コレクションの多くは第四代侯爵が集めたとされるフランスの品々。

フラゴナール、ブーシェ、ヴァトーなど、フランスロココを代表する画家をはじめ、ヨーロッパ各地の巨匠たちの名作がずらり。
ロンドンにいながら、18世紀パリの優雅な空気を感じられるのです。
必見の名画6選!
18世紀フランスの美術品が充実しているウォレスコレクションですが、それ以外の時代、国の有名絵画も多く展示されています。
大きな美術館ではないものの、全部をゆっくり見ようと思うとなかなか大変。
そこで今回は、筆者厳選!必見の絵画6点をご紹介!
ちなみに、ご自身のスマホでオーディオガイドを聞きながら見学でき、マップもダウンロード可能ですので、来館の際は是非利用してみてください。
(日本の音声ガイドはありませんが、解説文は日本語でも見られます。)
①フラゴナール《ぶらんこ(The Swing)》
まずはウォレス・コレクションの顔とも言える一枚。

ピンクのドレスをひるがえしてブランコに乗る貴婦人と、足元から見上げる男性が印象的。ロココ特有の軽やかさと遊び心がいっぱい。
ふわっと舞うスカート、木漏れ日のやわらかい光で可愛らしさを感じる1枚です。
ちなみにこちら、あの「アナ雪」に登場する絵画のモデルにもなっているんです!
「生まれてはじめて」の曲中に登場するので、要チェック!
②フランツ・ハルス《微笑む騎士(The Laughing Cavalier)》
黒い衣装に刺繍がびっしり。謎めいた笑みが印象的な肖像画。

17世紀に活躍したオランダの巨匠、フランツ・ハルスの作品です。
ハルスは微笑んでいる肖像を多く手がけていて、こちらもその一つ。
表情はもちろん、刺繍やレースの描写が本当に美しい…!
③ブーシェ《ポンパドゥール夫人の肖像(Madame de Pompadour)》
フランス宮廷の華、ポンパドゥール夫人を描いた優雅な肖像画。

彼女はルイ15世の寵妃でありながら、文学や芸術を愛し、フランスの文化の繁栄に貢献したと言われています。
作者のブーシェはこの時代のロココ文化を象徴する画家の一人。ポンパドゥール夫人にも重用されたそうで、何枚も残っている彼女の肖像画のうちの1枚です。

また、その大きさと迫力から館内でも一際目を引く対の絵画、「日の出」と「日の入り」も彼の作品です。
④ベラスケス 《扇を持った女性(The Lady with a Fan)》
スペイン絵画の黄金時代、17世紀を代表する大画家、ベラスケスの1枚。

黒を基調とした衣装に身を包んだ女性が、静謐な表情でこちらを見つめ、手には扇を持っています。
柔らかな光が顔や手を照らし、繊細な質感と深い陰影が見事。
ベラスケスは宮廷画家として活躍していたため、手掛けた肖像画は王家や宮廷の人々がほとんど。その代表が、マルガリータ王女とその侍女たちを描いたとされる「ラス・メニーナス」。
しかしながら、この肖像画のモデルは不明で、謎めいた肖像画とも言われているそう。
⑤ルーベンス《虹のある風景(Landscape with a Rainbow)》
雨上がりの大地に柔らかな光が差し込み、空には鮮やかな虹が描かれている作品。

豊かな緑と家畜、人々の穏やかな暮らし、生命の恵みと自然の調和が感じられます。
この絵の作者は、16世紀から17世紀にかけてヨーロッパ中で大活躍した画家、ルーベンス。
大工房をかまえ、数え切れないほどの名画を残しています。
中でも日本人に馴染み深いのは「フランダーズの犬」の登場する「キリスト昇架」と「キリスト降架」ではないでしょうか。
有名なあのシーンで、ネロが最後に見たかった絵画を手掛けたのもルーベンスなんです。
⑥レンブラント《自画像(Self-Portrait in a Black Cap)》
レンブラントが30代の頃に描かれたとされる自画像。

レンブラントは17世紀のオランダで活躍した画家で、「夜警」が特に有名かと思います。
集団肖像画を多く手掛けたことで有名ですが、生涯を通して何枚のも自画像を描いたことでも知られています。
そんな数ある自画像のうちの1枚がここでも見られるというわけです!

ちなみに息子の肖像画も展示されているので一緒に鑑賞してみてください。
美術館のカフェでアフタヌーンティー
美術鑑賞のあとは、館内の中庭にある「The Wallace Restaurant」へ。
ガラス屋根から光が差し込む明るい空間で、ロンドナーたちの憩いの場としても人気です。

おすすめはもちろん、アフタヌーンティー。

3段トレイに並ぶサンドイッチ、ケーキは見た目も華やか。
正直あまり味に期待していなかったのですが、どれも美味しくてびっくり!
紅茶の種類も豊富で、おかわり自由。いろんな香りを楽しむこともできます。

有名ホテルに比べて価格も良心的。
観光の合間に、アートの余韻に浸りながら一息つくには最高の場所です。
カフェの穏やかな空気が、この美術館の魅力をより一層引き立てています。
まとめ――静けさの中で出会う、ロンドンの“本当の贅沢”
ウォレス・コレクションは、有名な観光名所というわけではありません。けれど、だからこそ感じられる静けさと上品さがあります。
貴族の邸宅で美術品を鑑賞し、最後に紅茶でひと休み。
ガイドブックにはあまり載っていないけれど、ここには一流の絵画と温かな雰囲気が共存しています。
「人混みを避けて、アートを見たい」、「素敵な空間でお茶を楽しみたい」――そんな人にこそ訪れてほしい場所。
芸術と紅茶に包まれる、穏やかで贅沢なひとときが待っています。
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