こんにちは!ロンドン駐在妻のAyaです。
突然ですが皆さん、ロンドンでの暮らしが決まったときのことは覚えていますか?
こんなふうに思った方も少なくないはず!
「ロンドンは歴史のある街。せっかく住むのだから、たくさん観光したいな~」っと。
しかし、実際に行ってみると…

あれ?解説英語でわからない・・・
そもそもイギリスの歴史詳しくないからよく分からない。
よく見る顔だけど、誰か分からない。
イギリスの王様の名前全部似ていてよく分からない。



うん。なんか素敵な場所だったな☆
で、終わってしまうことありませんか?
特に歴史的な場所は、背景を知らないと「ただの古い建物」に見えてしまいがち。
でも人物像やエピソードを知るたけで、見方がガラッと変わるんです。
せっかく高いお金を払って入場しているのであれば、「楽しみ尽くして帰りたい!」ではないですか!
今回の記事では、6回も結婚したことで有名な暴君「ヘンリー8世」と彼にまつわる2つのスポットについて、歴史を調べるのは少し面倒、でも観光をもっと楽しみたい!という方にご紹介します!


ヘンリー8世とは?一体何者??
顔は見たことがある、名前も知ってるけど・・・誰だっけ??という方も多いかと思います。
まずは、ざっくりとヘンリー8世をまとめてみました。
- 6回も結婚した!!
妻6人内訳:ドロドロ離婚1人、処刑2人、円満離婚1人、産後死亡1人、亡くなるまで看取ってくれた1人 - 1人目の妻と離婚したくて、宗教改革!!イギリス国教会の誕生
- 暴君過ぎてイギリスの歴代統治者43人中栄えある最下位に選ばれた、嫌われ者の王
ざっくりまとめただけでも、だいぶツッコミどころ満載ですね・・・
ヘンリー8世の人生と彼が生きた時代をみていきましょう。
ヘンリー8世の人生


ヘンリー8世は次男として生まれますが、兄が早くに亡くなったため、王位を継ぐことになります。
兄亡き後、兄に嫁いできたスペイン王室出の兄妻と結婚します。 ⇒妻①
夫である兄が亡くなった時点で、スペインに帰国する手もあったのでは?というよりも兄の妻だった女性との結婚は、カトリック的にOKだったの?と疑問に思う方もいると思います。当時、大国スペインとの繋がりが欲しかった(ヘンリー8世の父、ヘンリー7世が莫大な持参金を返すのを渋ったなんて話もあります)イギリスはなんとか力業でローマ教皇に結婚を無効にしてもらい、ヘンリー8世と再婚することになるのです。
妻①は6人子どもを産みますが、男の子は生まれず・・・そして唯一生き残ったのは女の子でした⇒のちのメアリー1世


その当時のイギリスでも、女性の王位継承は認められていました。しかし女王を君主とする場合、夫となる相手もそれなりの地位(他国の王など)でないと釣り合わないため、他国との継承権争いに発展する可能性がありました。このような理由から、ヘンリー8世は男子の継承にこだわっていたと言われています。



男の子がほしい!世継ぎに男の子!ぜった~い!
どうしても男子が欲しいヘンリー8世。そこで妻①の侍女と不倫。この侍女の名前が「アン・ブーリン」
アン・ブーリンは、自身の若さを武器にヘンリー8世に「絶対に男の子を生む!」と言って近づいたと言われています。また、彼女の姉妹もヘンリー8世の愛人とされていたこともあり、愛人ではなく自身を「王妃」として迎え入れるようにヘンリー8世に巧みに迫ったともされています。アン・ブーリンは、ヘンリー8世を焦らすことで、夢中にさせ、ヘンリー8世に離婚の決意を固めさせます。





アン・ブーリン(妻②)から生まれる子を自分の世継ぎにするためには、
妻①と離婚しなければ!!
「王妃」から産まれる子でないと、王位継承権が得られないため、ヘンリー8世は焦ります。



カトリック教会で離婚が禁止されていることは知っているけれど、兄の妻と結婚する時もどうにかなったし、今回の結婚も無効にしてくれるよね??
しかし、ちょうどその時ローマ教皇の危機を妻①の実家であるスペインが救っていたのです。妻①の実家であるスペインからしたら、カトリックで離婚なんてあり得ない訳ですから、もちろん大反対。ローマ教皇も離婚を認めてはくれません。



カトリックで離婚なんてダメです!離婚するなら破門です!



じゃあ、新しい宗教つくって、自分がトップになる!
そして、誕生したのがイギリス国王をトップとするイギリス国教会
しかし、アン・ブーリンが産んだ子は、女の子。この時誕生した子は、のちのエリザベス1世です。
現在のイギリスもキリスト教ではありますが、ヘンリー8世が立ち上げたイギリス国教会です。カトリックでは、ローマ教皇がトップですが、イギリス国教会では君主である国王がトップを務めます。ヘンリー8世は、君主である国王が宗教上のトップを務める仕組みを整えることで、その当時莫大な資金を持っていたカトリックの修道院を取り潰し、国庫を潤わせます。また、その財源をもってして、他の有力貴族の力を削ぐことで、「絶対王政」を完成させるのです。
絶対王政とは、簡単に言えば「王様の言う事は絶対!」。
ヘンリー8世が図らずも起こした宗教改革は、カトリック教会の影響下にあった国家運営が宗教の影響を受けなくなり、国王の力を強めました。
その後もアン・ブーリン(妻②)との間に男の子は産まれず・・・ヘンリー8世は、アン・ブーリンの侍女(妻③)と不倫します。


妻③と結婚したいヘンリー8世は、アン・ブーリン(妻②)が不貞をはたらいたことにして、ロンドン塔にて処刑します。
アン・ブーリン(妻②)の処刑後、数日のうちに妻③と再婚します。(えぇ~!早すぎ!まさに女の敵ですね)
妻③との間に、待望の男子が誕生しますが、妻③は産後直ぐに亡くなってしまいます。この男の子は、のちのエドワード6世です。
男子一人では・・・と、不安になったヘンリー8世は、4人目の妻と結婚します。
その当時のお見合い写真は、肖像画。ヘンリー8世は妻④の肖像画をみて、結婚を決めますが、その絵が実際よりも盛られていたことに激怒しました。肖像画を描いた画家は処刑。妻④とは、すぐに離婚します。
その後、妻④の侍女(また侍女!!)と再婚。再婚した妻⑤は奔放な性格だったため、こちらは本当に不貞をはらたき、ロンドン塔にて処刑されてしまいます。
最後は2度結婚歴のある未亡人であった妻⑥。ヘンリー8世の介護や子供たち(メアリー1世、エリザベス1世、エドワード4世)とも良き関係を築きました。ヘンリー8世は、妻⑥に看取られ55歳で亡くなりました。


ヘンリー8世の暴君っぷりは妻たちだけではなく、臣下達にも発揮され、気に入らない臣下はすぐに処刑されました。
そんなヘンリー8世の晩年は、落馬で負った怪我によりブクブクの肥満体型だったと言われています。亡くなった際に入れられた棺は、鉛製だったにも関わらず、翌日に蓋が開いていたそうです。怪奇現象ではなく、太った体から出たガスが原因とされています。死んだ後も恐ろしいですね。
ヘンリー8世が亡くなった後、王位はエドワード6世⇒メアリー1世⇒エリザベス1世と引き継いでいくことになります。妻と離婚するために新しい宗教を作った、極悪非道な王様というイメージのヘンリー8世。
しかし、このヘンリー8世の決断がのちの世において、イギリスの栄華が極めていく土台作りとなり、皮肉にもアン・ブーリンとの間の子供エリザベス1世の時代に、イギリスは黄金期を迎えていくのです。
※アン・ブーリン以外の妻たちの名前は割愛させていただきました。妻たち、ごめんなさい。とにかく、名前がややこしいのです。6人の妻の内訳:キャサリンが3人、アンが2人、ジェーン1人。大混乱です。
ヘンリー8世にまつわるロンドンおススメ関連スポット
ヘンリー8世について詳しくなったら、関連スポットにおでかけしてみましょう!
ヘンリー8世の足跡をたどれるダークなスポットと、それとは対照的で華やかなスポット、2つのおススメ観光スポットを紹介したいと思います。
ダークな歴史スポット:ロンドン塔
どんな場所?
ロンドン塔は、当初は王宮として使用されていましたが、増改築を繰り返し、一時期は動物園まで備えた大きな城となりました。また、敵を迎え撃つ要塞でもあったロンドン塔は、12世紀ごろから王位継承にやぶれた王侯貴族や反逆罪の罪人の牢獄として使用されるようになりました。難攻不落な要塞だけに、脱出も容易にできないということで、牢獄にはぴったりだったようです。


ヘンリー8世との関係
- 2人目の妻、アン・ブーリンが処刑されたのはこのロンドン塔。ここで濡れ衣をきせられ処刑されました。
首のないアン・ブーリンが首を探し回るなんて噂も・・・下の記事で詳しく紹介していますので、是非参考にしてみてくだい。 - アン・ブーリンの娘であるエリザベス1世は、異母姉妹であるメアリー1世により幽閉されていた時期もありました。母が処刑された場所で自身も幽閉されてしまう。なんとも皮肉です。
- 5人目の妻もこのロンドン塔で処刑されますが、幽霊として現れるのはハンプトン・コート・パレスだそう。


また、もうひとつ有名な話として、ヘンリー8世が即位する少し前の話。それは、幼く即位したエドワード5世の話です。後見人は、エドワード5世の父の弟、叔父のリチャード。リチャードは、エドワード5世の弟と共にロンドン塔で戴冠式まで待つように言います。しかし、その後2人の少年の姿は見えなくなり、叔父がリチャード3世として即位することになります。
その200年後、ロンドン塔内にあるホワイトタワーで、子供2人の遺骨が発見されます。その後の調査で、その遺骨はその2人の遺骨であることが証明されました。
少しどころではない、だいぶ肝が冷える場所ですが、ロンドン塔内にあるクラウン・ジュエルズでは戴冠式でのみ使用される王冠を見ることが出来ます。また、ロンドン塔からいなくなるとロンドン塔の崩壊、ひいてはイギリスの崩壊につながると言われ大切に飼育されているカラスを見ることが出来ます。
見どころ盛りだくさんのロンドン塔、是非訪れてみてください!
【公式HP】Tower of London
華やかな宮殿:ハンプトン・コート・パレス
どんな場所?
ヘンリー8世と6人の妻が住んでいた宮殿。ハンプトン・コート・パレスは、そもそもヘンリー8世の臣下の持ち物でした。大変な浪費家であったその臣下は、その財を宮殿に注ぎます。しかし、その造りを気に入った(嫉妬した)ヘンリー8世に進呈された(または取り上げた)と言われています。東京ドーム約6個分の広大な敷地には、宮殿の他にも庭園が広がっています。
ヘンリー8世との関係
ハンプトン・コート・パレスでは、ヘンリー8世のアパートメントやキッチン、礼拝堂を見学することが出来ます。また、アパートメント内のホーンテッド・ギャラリーでは、5人目の妻(不貞をはたらいたことによりロンドン塔で処刑された)の幽霊も目撃されています。
敷地内には巨大な迷路があり、春にはイースターのイベントやチューリップ畑、夏にはフラワーショー、冬にはスケートリンクも出現し、家族で楽しむことができるハンプトン・コート・パレス。是非こちらも訪れてみてください。
【公式HP】HamptonCourtPalace


ロンドンおススメ観光スポットをお得にまわる方法
ご紹介したロンドン塔とハンプトンコートパレスは、「Historic royal palace」のメンバーシップになることで、お得にまわることが出来ます。このメンバーシップは1年間有効で、3カ所まわれば、元がとれます!
こちらの記事でお得にまわる方法を紹介していますので、是非行く前に確認しみて下さい。


おススメの漫画・映画
こちらでは、おススメの漫画と映画をご紹介したいと思います。
セシルの女王
私がヘンリー8世に興味を持ち、調べ始めたきっかけの漫画がこちら
「セシルの女王」です。
この漫画は、ウィリアム・セシルというのちのエリザベス1世時代、今で言う首相のようなポジションを務めることになる青年を主人公にお話が始まります。セシルを通して、ヘンリー8世、アン・ブーリン、エリザベス1世を知ることが出来る漫画です。必ずしも史実に基づいている訳ではないですが、歴史の流れを掴みたい方にとっては、絵もとてもきれいで読みやすく、とても面白いです!おススメです!
この漫画の中でのヘンリー8世は、かなり肖像画に寄せて描かれているのでイメージも付きやすいでし、漫画を読むことで私は初めて6人の妻の見分けをつけることが出来ました。
ブーリン家の姉妹
もっと詳しく知りたいと思って見た映画がこちら
「ブーリン家の姉妹」
ナタリー・ポートマン演じるアン・ブーリンとスカーレット・ヨハソンが演じるメアリ・ブーリン(アン・ブーリンの妹の設定)がとにかく可愛い。その当時のドレスもとても素敵で、絵画のような映像もとても素晴らしいです。しかし、ヘンリー8世がイケメン過ぎる・・・。ヘンリー8世は、190センチ近い大男で太っていたのに!!アン・ブーリンと結婚したのは40歳過ぎだったらしいのですが、この映画ではシュッとしたイケメン過ぎです。想像と違いましたが、その当時の雰囲気を知ることのできる映画です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
歴史を知ると、歴史上の人物の偉業と共に、ダメな点も知ることができて、偉人を少し身近に感じることができるようになったのではないでしょうか?
また、ヘンリー8世に関わる人物、アン・ブーリン、エリザベス1世、メアリー1世は、今回ご紹介した以外にも様々な本や漫画、映画となっています。今回ご紹介した観光スポットは、それほど魅力的な人たちが生きた場所。
奥深いイギリスの歴史に触れながら、是非ロンドン観光を楽しみ尽くしてくださいね☆
【参考文献】名画で読み解く イギリス王室12の物語(光文社新書)中野京子著