ロンドンから西に約1時間。Henley-on-Thames(ヘンリーオンテムズ)の街で夏に開催されるHenley Royal Reggata(ヘンリーロイヤルレガッタ)。イギリスにおいて、ウィンブルドン(テニス)、ロイヤルアスコット(競馬)、全英オープン(ゴルフ)と並ぶ、夏の社交界、スポーツ界最大のイベントの一つとして重要な位置を占めています。そのため他の3イベント同様、特定の会場にはドレスコードが設けられています。
2020年は182年の歴史の中で2回の世界大戦以外で初めて中止になりましたがその後は開催されています。2021年度は海外・国内から481人ものクルーがエントリーし競い合いました。
今回はヘンリーロイヤルレガッタの紹介と、ヘンリーオンテムズの街の見どころをご紹介します。
お出かけの際の参考になれば幸いです。
ヘンリーロイヤルレガッタとは?
レガッタとはボート競技(ヨット競技もレガッタと呼ばれる)のことで、ヘンリーロイヤルレガッタは世界で最も有名なレガッタです。天気の良い日にテムズ川沿いを散歩していると、ボートを漕ぐ人を見かけることがありますよね。イギリスではボート競技が盛んです。
1839年に最初に開催され、それ以来2つの世界大戦と2020年を除いて毎年開催されています。(ちなみに最古と言われているレガッタは、同じくイギリスのワイト島で1826年から毎年開かれてる“COWS WEEK(カウズウィーク)”です。)もともとは地元の人々の娯楽としての位置づけでしたが、のちに世界的なボート競技大会へと変化していきました。
アルバート王子が最初の王室後援者となった1851 年以来、「ロイヤル」の名がつき今ではヘンリーロイヤルレガッタとして知られています。
レガッタは通常 6日間 (火曜日から日曜日) 続き、7 月の最初の週末まで続きます。
イギリスでもっとも良い季節に開催されるよ。短い夏にイギリスならではの行事を楽しみたいですね。
レガッタってどういう内容なの?
レースは、1マイル 550 ヤード (2,112 m) のコースで行われ、2艇が直接対決していく勝ち抜き戦です。テンプル島のスタート地点から上流のヘンリー橋に向かって並んでレースが行われます。コースは 2 列のブーム (垂直の柱の間に固定された木の棒) で区切られています。
プロ選手だけでなく社会人や学生などアマチュアの選手も出場でき、5つのカテゴリー26のイベント(チャレンジカップ)があり6日間で200以上のレースが行われます。レガッタで最も名誉あるイベントは、レガッタが初めて開催されて以来授与されている男子8人制のグランドチャレンジカップです。グランドチャレンジカップは5つのカテゴリーの中の「オープンイベント」に位置し、一般的には最高レベルのレースを指しています。オープンイベントでは世界中から集まったトップ選手が競い合います。
アマチュアからプロまであらゆるレベルの選手が参加するため、参加するクルーのレベルや資格を正確に定められています。各クルーが適切なカテゴリーで競争することを確保するために各カテゴリー、イベントを設けています。
「Open Events」オープンイベント トップレベルの選手で競う12のイベント | ・グランドチャレンジカップ(男子エイト) ・レメンハムチャレンジカップ(女子エイト) ・スチュワーズチャレンジカップ(男子フォア) ・タウンチャレンジカップ(女子フォア) ・クイーンマザーチャレンジカップ(男子クオドルプルスカル) ・プリンセスグレースチャレンジカップ(女子クオドルプルスカル) ・シルバーゴブレット&ニッカルズチャレンジカップ(男子ペア) ・ハンブルデンペアチャレンジカップ(女子ペア) ・ダブルスカルチャレンジカップ(男子ダブルスカル) ・ストノーチャレンジトロフィー(女子ダブルスカル) ・ダイヤモンドチャレンジスカル(男子シングルスカル) ・プリンセスロイヤルチャレンジカップ(女子シングルスカル) |
「Intermediate Events」インターミディエイトイベント 中級者男子:スキルレベルが上級(Open )とクラブ(Club )の中間が対象 | ・レディースチャレンジプレート(男子エイト) ・ビジターズチャレンジカップ(男子フォア) ・プリンス・オブ・ウェールズチャレンジカップ(男子クオドルプルスカル) |
「Club Events」クラブイベント 一般的なクラブレベルのクルーが対象 | ・テムズチャレンジカップ(男子エイト) ・ウォーグレイブチャレンジカップ(女子エイト) ・ワイフォールドチャレンジカップ(男子フォア) ・ブリタニアチャレンジカップ(男子フォア) |
「Student Events」スチューデントイベント 大学、カレッジ、学校のボートクラブのクルーが対象 | ・テンプルチャレンジカップ(男子エイト) ・アイランドチャレンジカップ(女子エイト) ・プリンス・アルバート・チャレンジカップ(男子フォア) |
「Junior Events」ジュニアイベント 特定の学年以下の学生(通常は18歳以下)が対象 | ・プリンセス・エリザベス・チャレンジカップ(男子エイト) ・フィリップ殿下チャレンジトロフィー(女子エイト) ・フォーリーチャレンジカップ(男子クオドルプルスカル) ・ダイヤモンドジュビリーチャレンジカップ(女子クオドルプルスカル) |
ボート競技について簡単に紹介すると、オールをひとり1本持って漕ぐ“スウィープ”と、ひとりが2本持って漕ぐ“スカル”があって、さらに漕ぎ手が1人、2人、4人、8人があります。また漕ぎ手のほかに舵をとる舵手が乗る・乗らないがあるなど、競技の種類は多岐に渡ります。
ヘンリーロイヤルレガッタの観戦方法
ヘンリーオンレガッタには、大きく分けて以下の2つのエンクロージャーとパートナー会場があります。
Stewards’ Enclosure (スチュワードエンクロージャー)
こちらはStewards’ Enclosure(スチュワードエンクロージャー)メンバーシップ限定エリアです。メンバーとメンバーのゲストのみ入場できます。スチュワードエンクロージャーのメンバーになるには、2人の既存メンバーの推薦が必要で、順番待ちは現在5〜8年とのこと。過去にレガッタで競技したことのある人、またはボートスポーツに関係している人が優先されます。(関係者や知り合いがいなければ一般人がメンバーになるのは難しそうですね。)
またスチュワードエンクロージャーにはドレスコードがあることでも有名で、女性は膝下のドレスやスカート、ジャケットやブレザー、またはパンツスーツを着用する必要があります。必須ではないものの帽子をかぶるのが通例。男性はネクタイにジャケットまたはブレザーを着用する必要があります。ショートパンツ、レギンス、ジーンズの着用は不可。ドレスコードを守っていないと入場を拒否されることもあるとか。レガッタコースの終点近くに位置しており、レースの結果を最初に見ることができます。
ちなみに膝下スカートがマストだったのが、女性のパンツスタイルも近年解禁になったみたいですよ。
Regatta Enclosure(レガッタエンクロージャー)
Regatta Enclosure(レガッタエンクロージャー)が一般人もアクセスできる観戦エリアです。パブリックエンクロージャーとも呼ばれています。レースを観戦はもちろん、飲食も楽しめます。川沿いの座席とオープンなグランドスタンドのほか、屋根付きのレストラン、屋外のダイニングエリア、さまざまな食事や飲み物を提供するバーがあります。16:00~18:00の間には、アフタヌーンティーも楽しめます。
レガッタエンクロージャーにはドレスコードはなく雰囲気はカジュアルでリラックスしていますが、多くの人がスチュワードエンクロージャーのドレスコードに準じてドレスアップしています。小さなお子様も入場可能です。
入場料はどのくらいなの?
曜日によりますが、入場料は一人あたり£32〜50です。大人が同伴する場合、14 歳未満の入場は無料です。
»チケット購入
意外と良心的な値段なんだね!
テンプル島で優雅に観戦する(パートナー会場)
公式ホスピタリティパートナーであるSodexoがFawley Meadows(フォーリーメドウズ)という場所で、ピクニックエンクロージャー、レストランそしてテンプル島において、観戦のほか飲食費やライブエンターテイメント、船での移動等が含まれたさまざまなパッケージを提供しています。
レガッタ競技スタート地点のランドマークであるテンプル島は、1771年にジェームズワイアットによって建築され、寺院のような建物と後に自然保護区として広範囲に木が植え替えられている庭園のある美しい島です。島への損害を防ぐため、許可なしに上陸はできませんが、レガッタ期間中は優雅に楽しめるプライベート会場として、レガッタ期間外はイベントや宿泊でレンタルすることもできるようなのです。
テンプル島のパッケージは一人£570〜!フォーリーメドウズのピクニックエンクロージャーや川沿いのレストラン利用であれば£142〜と庶民にとって少し良心的な価格に。ホスピタリティを感じながら優雅に観戦したい方はこちらも検討してみては。
»公式ホスピタリティパートナー
普段上陸はできないけど、レガッタに関係なく、テンプル島はヘンリーオンテムズを訪れたらぜひ見ておきたい場所です。川沿いを15分ほど歩くと島が見えてきます。
Youtubeのライブ配信で見る
現地に行かなくてももっと気軽に楽しめる方法として、ヘンリーロイヤルレガッタのYouTubeチャンネルにて、例年ライブ配信されています。雰囲気を少しでも楽しみたい、遠方で現地には行けない!という方も、ご自宅でご覧になってみてはいかがでしょうか。
https://www.youtube.com/@HenleyRoyalRegatta/featured
2023年のレガッタ開催日程
日程 | 2023年6月27日(火) 2023年6月28日(水) 2023年6月29日(木) 2023年6月30日(金) 2023年7月1日(土)準決勝 2023年7月2日(日)決勝 ・平日のレースは例年9時頃から始まり19:50頃に終了。 ・日曜日の最後のレースは16:30に終了。 |
5月時点で各日の詳しいレーススケジュールはまだ出ていなかったので、開催時間等の詳細はHPで確認してくださいね!»公式HP
ヘンリーロイヤルレガッタの開催場所は?
Henley-on-Thames(ヘンリーオンテムズ)はイングランド、オックスフォードシャーのテムズ川沿いにある美しい街です。
【場所】
Henley-on-Thames
Oxfordshire
RG9 2LY
England
【アクセス】
ロンドンからは車で約50分、電車で約1時間40分ほどの距離に位置しています。
ヘンリーオンテムズの街の見どころ
季節を問わずレガッタ観戦以外でも訪れたい川沿いの街Henley-on-Thames(ヘンリーオンテムズ)は、イギリスで最も美しい町の1つと言われています。13世紀から栄えたマーケットタウンで、上流階級の方々がこの地に邸宅を建て、現在も高級住宅街として知られています。
中心街メインであれば日帰り、半日旅行でも十分楽しめます。川沿いの街はほんと雰囲気が素敵ですよね。日頃の疲れを癒しちゃいましょう。
ヘンリー橋
テムズ川は町の端、オックスフォードシャーとバークシャーの国境に沿って流れており、ヘンリー橋は見どころの一つ。1786 年に建設された道路橋です。5つの楕円形の石のアーチが特徴。ヘンリー橋近くの川沿いには歴史あるボートクラブも存在しています。
テンプル島
先ほども紹介したテンプル島はヘンリーオンテムズを訪れたらぜひ訪れてみて。ヘンリー橋から川沿いを15分ほど歩くとテンプル島が見えてきます。
The Old Bell(パブ)
1325 年に建てられたヘンリーで最も古い建物のパブです。グレード II* 指定の建造物です。イギリスでは特別な保護に値する特定の建築的または歴史的関心のある建造物は指定建造物として指定されて3段階のグレードが付けられています。
20 Bell Street
Henley-on-Thames
South Oxfordshire
RG9 2BG
»HP
RIVER & ROWING MUSEUM(博物館)
博物館には、ボート競技に関する展示が含まれた4つのギャラリー展示のある博物館です。建物自体が1999年に英国王立美術委員会ビルディングオブザイヤー賞を受賞。また、英国国立遺産博物館オブザイヤーにも選ばれました。
常設のギャラリーには、世界最古のスポーツの1つであるボート競技について展示している「ボートギャラリー」、テムズ川に関する「テムズギャラリー」、ヘンリーの町の歴史を伝える「ヘンリーギャラリー」、イギリスの小説家ケネスグレアムによる1908年の原作の世界を表現する「Wind in the Willowsギャラリー」があります。
River & Rowing Museum
Mill Meadows
Henley on Thames Oxfordshire
RG9 1BF
»公式HP
The Henley Distillery(ヘンリー蒸留所)
18 世紀の納屋を利用したヘンリー蒸留所では、伝統的な手作りの職人の手法を用いてプレミアムな蒸留酒を製造しています。蒸留所ツアーやジンの試飲ができるツアーに参加できます。ツアーは土曜の昼間のみのようです。
The Henley Distillery
Henley on Thames
Oxfordshire
RG9 4LG
»公式HP
街歩きがてらアンティークショップ巡り
イギリスの街歩きでは欠かせない!?アンティークショップ巡り。ヘンリーオンテムズの街にも、チューダー様式のアンティークショップ「Tudor House Antiques」など駅から徒歩圏内にアンティークショップが点在しています。グレードII指定の建物に店舗を構えるテディベアショップ「Asquiths」ではお土産やギフト探しも。
まとめ
ヘンリーロイヤルレガッタでは、イギリスの短い夏に日本では味わえないイギリスならではの体験ができるでしょう。そしてレガッタ観戦以外でも季節を問わず、ヘンリーオンテムズの美しい街の雰囲気を楽しむことができます。ロンドンから約1時間。晴れた日のちょっとしたお出かけにも、週末の日帰り旅行にも最適な場所です。一度訪れてみてはいかがでしょうか。