最近「サスティナブル(sustainable)」や「エシカル(ethical)」といった言葉をよく目にしませんか?SDGsの普及に伴い、環境問題や社会問題の観点から企業を中心に様々な取り組みがされています。何だか難しそうな話ですが、わたしたちに一番分かりやすいところでいうと、日用品のビーガンフレンドリー商品、コーヒーショップの紙ストローなどもそう。もちろん個人で取り組めることもあります。そんな意識の広がりが、今後の世界に必要不可欠であると言われています。
サスティナブルとエシカル
「サスティナブル(sustainable)」は直訳すると「持続可能な」という意味。このサスティナブルという言葉は、「SDGs(Sustainable Development Goals)」(持続可能な開発目標)の採択以降広まってきました。「人間・社会・地球環境が持続可能な発展を目指す」といった文脈で使用されています。
一方「エシカル(ethical)」とは「倫理的」という意味。法律で決められていなくても、みんなが正しいと思えるような良識的なこと、といった意味合い。近年は「人間・社会・地球環境を大切にする考え方や行動」という意味で使用されています。
どちらも似たような意味で混同しそうですが、「サスティナブルな社会を目指すには、エシカルな考えや行動が必要」というと分かりやすいでしょうか。密接に関係している言葉なんですね。
SDGsとは
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、持続可能な社会を実現するために2030年までに世界が取り組む行動計画のこと。途上国・先進国含めた全ての国連加盟国が達成すべき目標として、2015年の国連総会で全会一致で採択されました。達成すべき目標とは、
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤を作ろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさを守ろう
16.平和と公正を全ての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
という17項目。その中にはさらに細かい169の具体的な目標が設定されています。環境や平和だけでなく、人権やジェンダー平等、公正などの社会問題や、生産者や消費者の責任といった倫理観を問いかけるような項目もあります。
そのため、SDGsの取り組みに貢献する企業が増えてきています。女性の活躍や働き方の改善に取り組んだり、冒頭の紙ストローもそう。何年前かな?イギリスで突如紙ストローが出始めた頃は、ドリンクを飲み終わる前にストローがよくだめになってた・・なんて思い出がありますが、それを皮切りに、商品パッケージや買い物袋などもプラスチック製から紙などの素材に変わってきたなと、普段の買い物からも感じていました。
ちなみにメンバーの9割が駐在妻のLondon Kirari Projectでは、「5.ジェンダー平等を実現しよう」「8.働きがいも経済成長も」の点から女性の活躍に着目し、働きたくても働けなかったり、家庭の外での居場所がほしい方を応援しています。
エシカルやサスティナブルを意識したイギリスのブランド
SDGsは国や企業だけがんばるというわけではなく、個人でも取り組むことができます。何も難しいことではなく、エコバッグを毎回使うとか、家庭のごみをなるべく減らすなど、わたしたちがこれまで普通に心掛けてきたことからで良いのです。
さらに、サスティナブルな発展の為に、動物由来の素材を使った商品・環境に配慮したエシカルな商品を選んで消費することをエシカル消費と呼ばれています。品質の良い物や長く使える物を選ぶなど、日々の買い物の際に心掛けることもできそうですね。
食品、日用品からファッションブランドまで、調べるとたくさんのイギリスのブランドが様々な取り組みをしていたり、おすすめのアプリもありましたので少しご紹介します。
Stella Mccartney
イギリスのファッションデザイナー、ステラマッカートニーによるファッションブランド。ファラベラというバッグが有名ですね。設立当初より、レザーやファーなど動物由来の素材を使用せず、環境への影響を最小限に抑えながら魅力的な製品を作ることに力を注ぐブランドです。
Innocent Drinks
スーパーで見かけるイノセントドリンクというスムージーやジュースのブランド。ケンブリッジ大学の同級生たちが設立しました。再利用可能な素材のパッケージの使用、売り上げの10%を慈善団体に寄付しているそうです。こちらの商品を選ぶことで、寄付にも貢献できるんですね。
Lush
日本でも広く展開されているLush。食品や植物を主体とする天然成分を特徴とするバス用品、ケアクリームなどを製造・販売しているドーセットに本社のあるブランドです。創立当時からの信念である動物擁護の観点から、動物実験を行った材料を商品に用いないことを謳い、チャリティーポットと呼ばれるボディクリームの売上を各種団体への寄付に充てるなど、反動物実験運動や動物愛護運動に資金協力してます。
フードシェアアプリ「OLIO」
OLIOというアプリをご存じですか?なんと、余った食材や手作りのごはんなどを、無料でご近所さんに提供できるというもの。フードロス問題解消のための仕組みとして、素晴らしいですよね。実際にアプリをインストールしてみると、家にある食材から手作りのパンなどが出品されていて、ざっと見た感じ8割強のものがどなたかにシェアされていました。Tescoの売れ残り品と思われるものもあり(ボランティアの方が店に取りに行きアプリ内で出品している)、お住まいの地域次第では、様々なスーパーやお店の売れ残り品が無料でゲットできるかもしれませんし、安くて大量の野菜が買えるイギリスですが、余ってしまうこともしばしば・・。捨てずにシェアできるなんて!気になる方はインストールしてみてはいかがでしょうか。
ほかにもまだまだたくさんのエシカルな商品やブランドがありました。また、イギリスにはたくさんのチャリティーショップがありますし、古いものに価値がある文化でもあります。全てのことに一人で取り組むことは難しいですが、自分ができること、興味があることにひとつでも取り組んでみることが、サスティナブルな社会への第一歩になるでしょう。