こんにちは、ロンドンでの2人育児に奮闘中のかおりです。
2022年に東京で長女を出産、2024年に次女を妊娠中に渡英、同年ロンドンで出産。
妊婦で渡英した当時、何もわからず不安な気持ちでいっぱいでした。
そんな中、いろんな方のお話、そして体験談の記事が本当に助けになったんです。
ロンドンも2年目に突入し、生活に慣れた今、少しでも誰かのお役に立てればと思い、妊娠・出産の記録をまとめてみました。
東京とロンドンの両方で出産したからこそ分かるそれぞれの違いとなどもご紹介。
あくまでいち個人の体験談として読んでいただけると嬉しいです!
日本で妊娠、ロンドンで出産
すでにご紹介したとおり、渡英前に妊娠が判明。悩んだ末、イギリスで産むことに。
日本の病院で17週まで健診を受け、健康状態に問題なく、飛行機に乗っても差し支えないことを医師に確認してもらい、渡英しました。

渡英後、どのような医療機関を利用したのか、健診はどのような感じだったのか、日本との違いなどご紹介していきます!
以降、いくつかの医療機関等が登場します。
- NHS※が運営する病院→「NHS」
- 日系のプライベート病院→「日系病院」
- 現地のプライベート病院→「プライベート病院」
- お産を担当してもらった医師→「担当医」
と表記させていただきますので、ご留意ください。
英国の国民保健サービスでNational Health Serviceの通称。NHSは税金で運営されており、加入者は自己負担なく医師の診察を受けることができます。
参考:外務省HP https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/europe/uk.html
ロンドンでの産院選び

イギリスの医療事情知識ゼロからのスタート。分からないことだらけ。
とりあえず日系病院に駆け込み、胎児に問題がないことを確認してもらいました。日系の病院があるなんてロンドンってすごい!と感激したのを覚えています。
そして、情報を集めつつ、産院をどうするか決めていきました。
NHSかプライベート病院か
イギリスでの選択肢は大きく分けて2つあります。
NHSかプライベート病院か、です。
詳しくは後述しますが、お産はプライベート病院を選び、併せてNHSも受診することに。
ここからは、それぞれの利用の流れを簡単にご紹介します。
NHSの利用

まずは、NHSについてご紹介。プライベート病院のみを利用する場合でも、念の為GPには妊娠したことを伝えておくと安心です。
というのも、緊急時の対応はプライベート病院では難しいため、NHSの救急外来利用した場合、先方に何も情報がない状態になり、処置がスムーズに行かない可能性があるからです。
STEP 1 GPを登録しNHS番号を取得する
初めてNHSを利用する場合、まずは最寄りのGP((General Practitioner))というかかりつけ医のような機関に登録をします。
参考:NHS公式HP
オンラインでもできるようですが、直接最寄りのGP行き、登録手続きを行いました。

STEP 2 妊婦登録をする
おそらくGPでもできると思うのですが、筆者の場合は、産科のある病院に直接電話で連絡をし、事情を説明し指示を仰ぎました。
その後、指示に従い、オンラインで妊娠した時期などの基本情報を登録。
最寄りの病院につてはNHSのHPで検索もできます。
ちなみに実際に利用したのは「Queen Charlotte’s & Chelsea Hospital」。西ロンドンで産科の対応がある病院です。
STEP 3 NHSからの連絡を待つ
妊婦情報の登録後しばらくして、健診の案内が電話と封書で届きます。日時は指定されており、事前の都合確認はありません。
よほど都合が悪ければ変更できますが、基本的に病院側の指定日時に受診するスタイルです。
プライベート病院の利用

前準備として、日本で妊娠がわかった場合、日本の病院で紹介状をもらっておくと安心です。日本語でOKです!
STEP 1 産婦人科のある日系病院を受診
筆者の場合、NHSの最初の健診までどれくらい時間がかかるかわからない状況だったので、渡英してすぐ日系病院を受診。
日本の病院の紹介状をもとに現在の様子を確認してもらいました。
ロンドンには何ヶ所か日系の病院がありますが、妊婦健診に対応している「ジャパングリーンメディカル」を受診。
シティクリニック(最寄り駅:Liverpool street)と、アクトンクリニック(最寄り駅:Acton Town)があり、電話予約から診療まで全て日本語で対応していただけます。
日本と同じような流れで妊婦健診ができるので安心です。
こちらでは28週ごろまでの健診が可能で、以降は現地のプライベート病院への移行することになります。
STEP 2 担当医を決める
日系病院ではお産の対応がありません。
そのため、現地のプライベート病院で産むことになるのですが、イギリスの場合、「病院」を選ぶのではなく、「医師」を選びます。そしてその医師が提携している病院で産むというイメージです。
といってもイギリスの産科医事情に詳しい訳もないので、日系病院で数名紹介していただくことに。
ご紹介いただいたそれぞれの医師のHPと実際にロンドンで出産された方のお話などを参考に決めました。
STEP 3 担当医に連絡
担当してもらいたい医師を決め、HPに記載されている問い合わせフォームなどから連絡。
先方からの返信を待ち、初診日を決め、その後は医師の指示に従って健診を進めていきます。
初回は、日系病院の紹介状を持参するのが望ましいかと思いますが、なくても大丈夫でした。
ちなみに、担当医は、多くの日本人の方を診てらっしゃることもあり、日本人通訳の方が毎回付き添ってくださいました。
医療系の英単語はさっぱりだったので、本当に心強かったです。
NHSとプライベート病院をどのように併用したのか
まず、なぜNHSで産まなかったか、それは希望であった「計画無痛分娩」に対応していなかったからです。
(無痛分娩自体の対応はしてくれるそう。)
一方で、できるだけ費用を抑えたかったので検査やワクチン接種などはNHSを利用することに。

そのせいであちこちに出向く羽目になったので、今となっては、どうせプライベート病院で産むなら、NHSは利用しなくてよかったかも。と感じています。
19週で渡英→とりあえず日系病院を受診→28週ごろまでNHS→プライベート病院という流れでした。
必須の検査と予防接種はNHSで


28週ごろまでの間、NHSの利用は6回。
それぞれの内容は次のとおりです。
- 1回目:助産師面談(通常の健診)
- 2回目:血糖値検査(妊娠糖尿病の検査)
- 1回目:助産師面談(通常の健診)
- 3回目:百日咳とインフルのワクチン接種
- 4回目:血糖値が引っかかったため講習
- 5回目:RSVのワクチン接種
助産師面談では
- 体重測定
- 血圧測定
- 尿検査
- みぞおちから下腹部の長さの測定
- 胎児の心音を電子聴診器で確認
などをされます。
ちなみに、日本のでは毎回行う「エコー検査」はありません。エコー検査については、後ほど詳しくご紹介します。
28週ごろからは担当医の健診


NHSにはプライベート病院で産むからもう来ないと伝えて担当医に移行。
お産をした病院は「The portland hospital」なのですが、普段の健診は担当医がいる診療所のようなところで行われます。
健診内容は概ねNHSの助産師面談と同様で、必要に応じて、血液検査やより精度の高い尿検査などもありました。
最初のうちは2週間に1度、途中からは週1のペースで受診。
加えて、エコー検査を別の医師のもと数回行われました。
びっくり!日本の妊婦健診との違い
細かいことを挙げればキリがないくらい沢山違いはあるのですが、中でも驚いたことをご紹介。
エコー検査はほんの数回


日本では健診のたびにエコーで胎児を確認して、頭や胴体周りの大きさなどから推定体重を出したり、動きや心拍を見たりしますよね。
しかし経過が順調であればイギリスでのエコー検査は2回のみ!


そのため、日本人の方でNHSで出産される方でも、日系病院で追加のエコー検査をされる方も多いのだとか。
筆者の場合は、日系病院で2回、担当医に引き継いだ後に3回、エコー検査を受けました。
通常、担当医に引き継いだ後は1回のみなのだそうですが、妊娠糖尿病の検査に引っかかっていたことなどから、追加で2回受けることになりました。



日本では健診のたびにエコーで赤ちゃんを見られるのが楽しみだったんだけどなぁ。
とにかく分業制!健診と出産の場所が違う


日本では産院を決めた後は基本的にその病院で健診を受けますよね。
しかし、こちらではとにかく分業制で、検査の内容により、受診場所が異なります。
NHSの場合、
助産師面談(通常の健診)→地域のチルドレンセンター
血液検査→設備の整った大きな病院
ワクチン接種→GP(かかりつけ医)
といった感じ。
また、プライベート病院に移行した後も、
通常の健診→担当医の診療所
エコー検査→エコー検査を担当する医師の診療所
実際の出産場所→設備の整った大きな病院
といった感じでした。
それに伴い、日時も別になるので、妊娠後期には同じ週の火曜に担当医の健診で、金曜に別の場所でエコー検査、なんてことも。
なんで同じ日に同じ場所でできないんだ…と妊婦の身としては辟易していました。
日本も分業制ではありますが、医師面談も検査技師によるエコー検査もを1箇所でできるはありがたかったんだなぁと。
いざ入院・出産!


戸惑いや驚きもありつつ、臨月を迎え、担当医と出産日を決め、いよいよ出産。
ここからは入院、出産、退院までの様子をご紹介します。
計画無痛のため決められた日に入院
事前に決めていた日に病院へ。朝来るように言われていたのに、向こうの都合で午後に。
(当日の朝、混んでいてまだ受け入れられないと連絡を受けびっくり。)
健康状態を確認され、陣痛促進剤を投与してもらいました。
陣痛が進むまでの間は個室にてひたすら時間潰し。
思っていた以上に時間がかかり、もっと暇つぶし道具を持参すべきだったなと感じています。
無事出産!
陣痛が進み、耐えきれない痛みになってきたところで麻酔を投与してもらいます。それ以降はベットから動くことができません。
陣痛がさらに進んだところで分娩の体制に。麻酔が効いていても陣痛は分かるので、医師の指示にしたがっていきみます。「PUSH」と言われます。
そして無事出産!次女が元気に生まれてきてくれました!


無痛分娩だったとはいえ疲労困憊。しばらく安静にした後、別の病室に案内されました。
入院食はルームサービス方式
生まれたのが夜だったので、病室を移りすぐに就寝。翌朝から母子同室で過ごします。
申し出るとナースステーションで赤ちゃんを預かってもらうことも可能でした。
出産に伴う医療行為は日本とあまり変わらないかもしれませんが、入院期間の大きな違いは「食事」。
決められた時間に運ばれるのではなく、食べたい時にメニューの中から選び注文するルームサービス方式。


メニューは豊富で、なんとアフタヌーンティーまで頼めました。
基本は1泊2日で退院、希望すれば延泊可能
基本のパッケージでは、経膣分娩で1泊2日、帝王切開で2泊3日で退院とかなりハードスケジュール。これも日本とは違う点です。
そのため、事前に1泊延長を申し出ていました。
2泊した時点で医師からは退院してもいいといわれたのですが、回復が芳しくなかったことなどから、さらにもう1泊することに。


費用を払い、空きがあれば、患者の申し出で延泊できるそう。
しかも退院時間も好きな時間にどうぞという感じでびっくり。


そういうわけで、3泊4日で退院。自宅での新生活がスタートし、現在に至ります。
最後に


今回は、筆者の経験をベースに、ロンドンでの妊娠・出産についてまとめさせていただきました。
渡英間もない頃は、とにかく不安でいっぱいでしたが、無事に出産を終えることができ、いろいろ教えてくれた友人、そして家族に感謝の気持ちでいっぱいです。
妊婦での渡英、そしてNHSもプライベートも両方利用ということで、ちょっと複雑な説明になってしまい、分かりにくいところもあったかもしれません。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
いち体験談ではありますが、少しでもどなたかの参考になれば幸いです。





